【ものづくり補助金】事業計画書の見出しの作り方【採択される確率アップします】

こんにちは。

 

中小企業診断士として独立し、
初めて支援した補助金申請は、ある業界向けに特化したLED照明の開発でした。
補助金コンサル歴10年になります。
これまでの採択件数は80件以上、採択率は「80%~90%」です(過去の採択実績はこちら)

Twitter(@KeisukeMatsumo7

 

さて、先日、ある方から補助金の相談をいただきました。

 いただいた相談がこちら

先日はありがとうございました。
自分なりに何とか申請書を書いてみましたので見てもらえないでしょうか。

私からの返信がこちら

申請書拝見しました。〇〇さんの意気込みが申請書からよく伝わってきました。
補助事業で何をやろうとしているのかについてはしっかり書けていますが、
補助事業の成果がどのように事業につながっていくのかという説明がやや物足りない印象です。

 

上記のようなことにならないためのコツをお伝えします。
後半では「事業計画書の見出しの作り方」も書きます。
最後に「チェックシート」も紹介します。

重要

本記事は、12月18日に開示された公募要項の内容に基づいて執筆していますが、今後、公募要項に変更が生じる可能性があります。そのため、ものづくり補助金ポータルサイトで最新情報を確認していただくようお願いします。

 

とにかく伝えたいことを書くだけではダメです

結論は「審査項目に沿って書くこと」です。

 

理由:審査員は審査項目に沿って申請書を評価しているから

ものづくり補助金の審査には審査項目というものがあります。
審査項目に書いてある内容が申請書の中で説明されていなければ、その項目は点数になりません。

審査項目を知らないで、伝えたいことだけを書くのはハイリスクです。

A、B、C、D、Eという5つの審査項目があるのにA、B、Cのことしか申請書に書いていなかったらとしたら、DとEについては0点です。

つまり、審査項目に対して「書きもらしがあった人」は「もれなく書いた人」と比べて最初から差がついています。

 

答えは公募要領の中にある
審査項目は公募要領の中に明記されています。

審査項目は、補助対象事業としての適格性、技術面、事業化面、政策面、加点項目、減点項目の6つですが、このうち

  • 技術面
  • 事業化面
  • 政策面

だけ見ておけばOKです。

ただし、審査項目に書かれている文章はそのまま読んでもわかりにくい。

じゃあ、どうするか。簡単です。

 

審査項目を読み解くコツ

結論は、「採点に関係していそうなキーワードだけ見る」です。

 

技術面

以下は審査項目の抜粋です。そしてマーカー部分が採点と関係していそうなキーワードです。

新製品・新サービス(既存技術の転用や隠れた価値の発掘(設計・デザイン、アイデアの活用等を含む))の革新的な開発となっているか

「中小サービス事業者の生産性向上のためのガイドライン」又は「中小企業の特定ものづくり基盤技術の高度化に関する指針」に沿った取組みであるか(グローバル展開型では、地域内での革新性だけではなく、国際競争力を有しているか)。

試作品・サービスモデル等の開発における課題が明確になっているとともに、補助事業の目標に対する達成度の考え方を明確に設定しているか。

課題の解決方法が明確かつ妥当であり、優位性が見込まれるか。

補助事業実施のための技術的能力が備わっているか。

 

つづいて、事業化面についても確認します。

事業化面

補助事業実施のための社内外の体制(人材、事務処理能力、専門的知見等)最近の財務状況等から、補助事業を適切に遂行できると期待できるか。金融機関等からの十分な資金の調達が見込まれるか(グローバル展開型では、海外展開に必要な実施体制や計画が明記されているか)。

事業化に向けて、市場ニーズを考慮するとともに、補助事業の成果の事業化が寄与するユーザーマーケット及び市場規模が明確か。クラウドファンディング等を活用し、市場ニーズの有無を検証できているか(グローバル展開型では、事前の十分な市場調査分析を行っているか)。

補助事業の成果が価格的・性能的に優位性や収益性を有し、かつ、事業化に至るまでの遂行方法及びスケジュールが妥当か。

補助事業として費用対効果(補助金の投入額に対して想定される売上・収益の規模、その実現性等)が高いか。

 

最後に政策面です。

政策面

地域の特性を生かして高い付加価値を創出し、地域の事業者等に対する経済的波及効果を及ぼすことにより地域の経済成長を力強く牽引する事業を積極的に展開することが期待できるか(グローバル展開型では、事業の成果・波及効果が国内に環流することが見込まれるか)。

ニッチ分野において、適切なマーケティング独自性の高い製品・サービス開発厳格な品質管理などにより差別化を行い、グローバル市場でもトップの地位を築く潜在性を有しているか。

バイオマス素材を用いた資源循環型プラスチック製品の開発等、環境に配慮した持続可能な事業計画となっているか。

 

書き洩らしのない申請書を書くにはどうすればいいか

結論は「見出し化すること」かなと思います。

審査項目を見出しとして活用し、本文を追加していくやり方で申請書を書きすすめると「審査項目」と見出しがほぼ合致するので、記載された内容をほぼ漏れなく網羅できます。

 

どうやってアピールするか

アピール方法は簡単で、見出しを使って「ここには審査項目に関することを書きますよ」ということが読み手に伝わればOKです。

書き方のコツなどは、書店でノウハウが売っています。
少なくとも2〜3冊くらいは、読みつつ勉強するのがオススメです。

書き方の参考図書をひとつ紹介しておきます。
参考 書くスキルUP すぐできる! 伝わる文章の書き方 確実に文章力がつく! 7つのステップ

 

マネしてOK。審査項目をモレなく網羅する「見出し」のパターン

この見出しは「新商品や新技術を開発したい方向け」に作っています。

その1:補助事業の具体的な取組内容

1.当社について
2.事業計画の背景・目的
3.補助事業について
 (1)開発における課題
 (2)補助事業における達成目標
 (3)課題の解決方法
 (4)実施体制について
4.「中小企業の特定ものづくり基盤技術の高度化に関する指針」(サービス業の場合は「中小サービス事業者の生産性向上のためのガイドライン」)との関係について

上記のとおり。

少し補足すると冒頭に

  • 当社について
  • 事業計画の背景・目的

という見出しを入れています。

なぜ、「自社について」と「事業計画の背景・目的」が有効なのか

結論は、「第一印象がよくなるから」ですね。

リアルの世界でも初対面の人に何かをお願いするときは、まず自分の

「自社について」は審査員にこちらのことを知ってもらって親近感を持ってもらうため。
「事業計画の背景・目的」は必要性をアピールするため。

 

その2:将来の展望

1.補助事業の成果の事業化が寄与するマーケットについて
 (1)ターゲットとなるユーザー
 (2)市場規模
 (3)顧客ニーズ
 (4)地域への経済波及効果について
2.競争優位性について
 (1)価格面
 (2)性能面
 (3)品質面
 (4)独自性
3.環境への配慮について
4.事業化までのスケジュール
 (1)営業戦略について
 (2)具体的な販売促進の方法
 (3)事業化の時期および事業化までのスケジュール
5.補助事業の収支計画
 (1)想定する販売数量
 (2)販売単価
 (3)利益率について
6.資金調達の見込みについて
 (1)事業化までに必要となる資金
 (2)当社の財務状況について
 (3)資金調達の方法について

上記をみていただくとわかりますが、たぶん「丁寧すぎるくらい細かい見出し」だと思います。

もしかすると、「すべて埋めるのは難しいかな…」と思うかもですが、
事業計画を細かく分解して考えることで、その後の道筋が見えるはず。

補助事業終了後の展望も見えてきますよね。

 

評価項目はそのまま事業計画書のチェックシートとしても使える

あと大切なのは、自分の書いた申請書を見直しすることです。
いきなり完ぺきな申請書を書ける人は稀。最初は「見出し通りの内容になっていない」というのが普通です。

なぜなら、あなたは会社の商品やサービスを作ったり売ったりするのはプロであっても、文章を書くプロではないですよね。

最初は審査項目と関係ない余計なアピールが多すぎたり、審査項目につながるアピールが不足したりすると思います。

 

おすすめの方法:親しい人に見てもらう

従業員でも、家族でも、友人でもいいので、あなたが書いた申請書を誰かに見てもらうことです。
できれば、

  • ビジネスの一般的な知識は持っている人
  • だけど、あなたのビジネスにはあまり詳しくない人

に見てもらうのが理想です。

もしくは、少し時間をあけていったん頭をリフレッシュしてから、自分で見直してもいいです。

ちなみにここで専門家の力を借りるのもアリです。

 

言うまでもなく、見直しも審査項目で確認しよう

見直しは審査項目の内容に対応したアピールになっているかを確認することが大切です。

 

審査項目をチェックリスト化しよう

僕がクライアントの申請書を添削するときは審査項目から審査に影響しそうなキーワードを抽出したチェックリストを使うようにしています。

 

技術面

  • 補助事業は革新的と言えるか
  • 「中小企業の特定ものづくり基盤技術の高度化に関する指針」(サービス業の場合は「中小サービス事業者の生産性向上のためのガイドライン」)との関係は明確になっているか
  • 技術開発(サービス業の場合はサービス開発)における課題は明確になっているか
  • 補助事業における達成目標を明確にしているか
  • 課題の解決方法は明確になっているか
  • 課題の解決方法に優位性があることを示せているか
  • 事業実施のための技術的能力を備えていることを示せているか

事業化面

  • 補助事業実施のための社内外の体制(人材、事務処理能力、専門的知見等)は明確になっているか
  • 赤字や債務超過がある場合は赤字や債務超過になった理由、今後の成長見込みについてはっきり説明できているか
  • 補助事業に必要な資金の調達方法は明確になっているか
  • どのような市場ニーズがあるのかを示しているか
  • 補助事業の成果の事業化が寄与するユーザーについて説明しているか
  • 補助事業の成果の事業化が寄与するマーケットについて説明しているか
  • 補助事業の成果の事業化が寄与する市場規模について説明しているか
  • 市場ニーズの有無を検証したことを示しているか
  • 補助事業を通じて開発した製品・サービスに価格的優位性があるか
  • 補助事業を通じて開発した製品・サービスに性能的優位性があるか
  • 補助事業を通じて開発した製品・サービスは従来と比べて高い収益性があるか
  • 事業化に至るまでの遂行方法を示しているか
  • 事業化に至るまでのスケジュールを示しているか
  • 補助金の投入額に対して想定される売上・収益の規模は十分大きなものとなっているか
  • 事業計画から実現性は感じられるか

政策面

  • 地域の特性を生かした取組みであるか
  • 地域の事業者等に対する経済的波及効果は期待できるか
  • 適切なマーケティングによる差別化が図られているか
  • 独自性の高い製品・サービス開発による差別化が図られているか
  • 厳格な品質管理による差別化が図られているか
  • 環境に配慮した持続可能な事業計画であると言えるか

自分の書いた申請書をチェックシートを使って何度も見直すことで
どんどんブラッシュアップされていくのが実感できるはず。

 

さいごに

やっぱり自分で申請書を書くのは難しいという方。
ぜんぜん問題なし。書類づくりをプロにお願いして自分は事業に集中するのもアリです。

ものづくり補助金のコンサルティングに関して

下記のリンクよりお問い合わせできます。

>>詳細はこちら(ランディングページに移動します)

というわけで今回は以上です。

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