【ものづくり補助金】事業計画書の書き方②【事業計画の背景・目的】

こんにちは。

 

ものづくり補助金の申請書(事業計画書)の書き方を解説しています。
なぜ補助事業に取り組むのか。

 

本記事のテーマ

【ものづくり補助金】申請書の書き方「事業計画の背景・目的」

 

記事の信頼性

中小企業診断士として独立し、
初めて支援した補助金申請は、ある業界向けに特化したLED照明の開発でした。
補助金コンサルの経験は10年になります。
これまでの採択件数は80件以上、採択率は「80%~90%」です。
 >> 過去の採択実績はこちら

Twitter(@KeisukeMatsumo7

 

ものづくり補助金の解説記事はこちら

ものづくり補助金の公募要領、事前準備、申請書の書き方などについて、まとめ記事を書いています。

【ものづくり補助金】公募要領から事業計画書の書き方まで【まとめ】(2022年7月4日更新)

こんにちは。RMCオフィスです。   この記事はものづくり補助金のまとめ記事となります。   中小企 ...

続きを見る

 

本記事では「補助金に申請することにした背景を書きたいけど、うまくまとまらないよ」という方に向けて書いています。

 

この記事を読むことで、「何を実現したいのか(目的)、なぜ実現したいのか(背景)」をまとめられるようになると思います。

 

 

では、さっそく見ていきましょう。

 

目的と背景を書く理由

理由は「話の筋が一貫したストーリーを語るため」です。
採択される申請書の多くは、話の筋が終始一貫してブレがない。
逆に採択されなかった申請書は、話の途中であちこちに飛んでしまって、何を言いたいのかわからないものが多いです。

 

話の筋を一貫させるには「ナゼを繰り返すこと」です。
簡単にいうと以下のような感じ。

  • なぜ、設備を買うのか? → 〇〇〇を実現したいから(目的)
  • なぜ、〇〇〇を実現したいのか? → 世の中が〇〇〇のように変化し、お客様から〇〇〇を求められるようになったから(背景)

 

理由もなく設備が買う経営者はいない

理由もなく設備が買う経営者はいないと思います。
アタマの中には「設備を買う理由」を持っています。

実際、口頭では設備を買う理由を説明できるのに、文章ではうまく書けない方が非常に多い

 

アタマの中を整理することで書けるようになります。

 

 

「目的を明確にするための手順」について解説します

簡単にいうと、

  • 4つの質問に答える
  • 質問の答えをまとめて文章化する

です。

 

目的を明確にする4つの質問

質問は、以下の4つです。

  • 質問①:「今までの設備(あるいは外注委託)では、実現できないのですか」
  • 質問②:「設備投資を通じて、何を実現したいのですか」
  • 質問③:実現するために設備投資以外に行う自社独自の工夫は何ですか
  • 質問④:「実現することによって、お客様のどのようなニーズに応えたいのですか」

順番に見ていきましょう。

 

具体的にイメージするために購入する設備を決めておきますね。

今回は金属加工業者が「CNC複合旋盤」をものづくり補助金を使って購入するという設定にします。

 

質問①:今までの設備(あるいは外注委託)では、実現できないのですか

今回はじめてその設備を買う場合は簡単です。
設備を「持っていないから」ですね。

 

今まで、「外注委託していたので、自社で設備を持つ必要がなかった」という場合は、
外注委託の問題点を挙げておきましょう。

 

買い換えや増台の場合は、「今まで持っていた設備ではなぜできないのか」を説明します。
だって、今ある設備でできるならわざわざ新しい設備を買う必要はないですからね。

回答例①:今までのCNC複合旋盤は、直径〇mm以上のワークをチャッキングできないから

 

質問②:設備投資を通じて、何を実現したいのですか

設備投資の目的を確認する質問です。

回答例②:大型部品の加工をできるようになりたい

 

「実現したいこと」のよくある例としては、以下のようなものが考えられます。

  • 工程を短縮してリードタイムを短縮したい
  • 段取り替えに掛かる時間を短縮したい
  • 歩留まりをよくしたい

 

ポイントは「視点は社内を向いている」ということです。

 

質問③:実現するために設備投資以外に行う自社独自の工夫は何ですか

実現するための「設備投資以外にやるべきこと」を明らかにします。

回答例③:〇〇〇を解消するために切削時の最適な切り込み量や送り速度の条件だしを行う

 

自社独自の工夫がないと、「同じ設備を買えば誰にでもできる簡単なこと」という印象を与えます。
何かしら工夫があるはずなので、見つけてください。

 

質問④:実現することによって、お客様のどのようなニーズに応えたいのですか

事業計画の目的を確認する質問です。これが最初の結論となります。

回答例④:大型部品を作ってほしいという要望に応えたい

 

「お客様のニーズ」のよくある例としては、以下のようなものが考えられます。

  • 短納期対応
  • コストダウン要求
  • 小ロット対応

 

ポイントは「視点はマーケットを向いている」ということです。

 

まとめると

質問は①→②→③→④の順でしたが、回答は④→①→③→②の順になります。

  • 回答例④:大型部品を作ってほしいという要望に応えたい
  • 回答例①:今までのCNC複合旋盤は、直径〇mm以上のワークをチャッキングできないから
  • 回答例③:〇〇〇を解消するために切削時の最適な切り込み量や送り速度の条件だしを行う
  • 回答例②:大型部品の加工をできるようになりたい

 

これをまとめると、

本事業の目的は、当社の取引先〇〇〇社から頂いた「大型部品を御社で作ってほしい」という要望に応えることです(回答例④)。

具体的には、直径〇mm以上のワークをチャッキングできる最新のCNC複合旋盤を導入したうえで(回答例①)、

加工時に生じることが予想される〇〇〇を解消するために切削時の最適な切り込み量や送り速度の条件だしを行い(回答案③)、

大型部品を製造できる加工技術を確立します(回答案②)。

という感じになります。

 

これで「事業計画の目的」が明確になりました。

 

次に「事業計画の背景」の作り方を解説します。

 

 

「背景を明確にするための手順」について解説します

こちらも目的の作り方と同じですが、質問数は3つです。

  • 3つの質問に答える
  • 質問の答えをまとめて文章化する

です。

 

背景を明確にする3つの質問

質問④で作った「目的」の続きになります。

質問は以下の3つです。

  • 質問⑤:どんなお客様にそのニーズがありますか
  • 質問⑥:なぜ、お客様はそのようなことを要求するようになったのですか
  • 質問⑦:その要因となる世の中の変化はなんですか

順番に見ていきましょう。

 

質問⑤:どんなお客様にそのニーズがありますか

答えは、そのニーズを持つ業界、業種、企業名などです。

回答例⑤:今までの取引先〇〇〇社のほかに、〇〇〇社の同業他社など〇〇業界全体にニーズがあると考えられます。

 

今までの取引先からの要望があった場合は、今までの取引先とすればOKです。

 

また、特定の取引先ではなく、想定する取引先の業界でもOKです。

例えば、

歯科クリニック → 歯科業界

土木建築会社 → 土木建築業界

という感じ。

 

さらに、BtoCの場合はこんな感じになります。

  • BtoBで考えるなら、取引先
  • BtoCで考えるなら、消費者
  • BtoBtoCで考えるなら、消費者

 

質問⑥:なぜ、お客様はそのようなことを要求するようになったのですか

お客様が質問⑤のニーズを持つようになった理由についての質問です。

回答例⑥:大型部品の加工に対応できる加工業者が減り、新しい加工委託先を探しているため

 

質問⑦:その要因となる世の中の変化はなんですか

質問⑥の理由に対する質問です。

回答案⑦:金属加工業界では、リーマンショックで多くの町工場が倒産したことに加え、生き残った町工場も後継者が見つからず廃業が後を絶たない

 

まとめると

質問は⑤→⑥→⑦の順でしたが、回答は回答④を加えて、⑦→⑥→⑤→④の順にまとめます。

  • 回答案⑦:金属加工業界では、リーマンショックで多くの町工場が倒産したことに加え、生き残った町工場も後継者が見つからず廃業が後を絶たない
  • 回答例⑥:大型部品の加工に対応できる加工業者が減り、新しい加工委託先を探しているため
  • 回答例⑤:今までの取引先〇〇〇社のほかに、〇〇〇社の同業他社など〇〇業界全体にニーズがあると考えられます。
  • 回答例④:大型部品を作ってほしいという要望に応えたい

 

これをまとめると、

金属加工業界は、リーマンショックで多くの町工場が倒産したことに加え、生き残った町工場も後継者が見つからず廃業が後を絶ちません(回答案⑦)。

そのため、当社の取引先〇〇〇社も含め、〇〇業界では大型部品の加工に対応できる加工委託先を探している会社が多いようです(回答案⑥)。

そこで、〇〇〇社から「大型部品の加工に対応して欲しい」という要望があったこと、また〇〇業界で大型部品加工の需要が見込めることから(回答案⑤)、

大型部品を自社で製造できるようにしたいと考えたのが補助事業に取り組む背景です(回答案④)。

という感じになります。

 

これで「背景を明確にするための手順」が明確になりました。

 

 

実践はもう少し複雑です。

上記の例ではシンプルに説明するために、質問に対する答えを全て1つにしました。
しかし、現実には1つの質問に対する答えが複数になることもあります。

 

例えば、

質問⑥:なぜ、お客様はそのようなことを要求するようになったのですか

という質問に対して、

回答例⑥-1:大型部品の加工に対応できる加工業者が減り、新しい加工委託先を探しているため

だけでなく、

回答例⑥-2:この部品が組み込まれた製品の売れ行きが好調で、取引先が増産計画を打ち出したため

という2つ目の理由もあるかもしれません。

 

そうすると、質問⑦についても「質問⑥-1の理由」、「質問⑥-2の理由」それぞれについて答えが必要になります。
つまり、複数の答えがあればあるほど複雑になります。

 

対策は、

  • とりあえず紙に書きだしてみる
  • 重要そうでない情報は削除する(書かない)
  • 情報同士の関係が分かるように図で整理する

です。

 

重要そうでない情報は削除する(書かない)

いくら話の筋が通っていても、あまり多くの情報を詰め込みすぎるとわかりにくくなります。

ストーリーはなるべくシンプルなほうが良いです。

 

情報同士の関係が分かるように図で整理する

下の図のようなイメ―ジです。
これも紙に書きながら作業をすすめるほうが捗ります。

 

 

さいごに

最後に宣伝です。当社ではものづくり補助金の支援サービスを強化中です。

補助金に関するご相談を無料でお答えしますので、お気軽に下のバナーからお気軽に問い合わせください。

-ものづくり補助金, 補助金・助成金
-,