新型コロナの影響を受けた事業者が社会保険料の支払を猶予してもらう方法

現在、新形コロナウイルス感染症の影響で世の中の経済が回らなくなっており、それに伴い非常に多くの会社が資金繰りに窮しています。

企業にとってお金は生き物に例えると血液に相当します。融資・給付金などが輸血だとすると、輸血と合わせて止血のことも考える必要があります

緊急融資、給付金、補助金・助成金など、次々と行政の支援策が打ち出されています。これらは輸血に相当するものです。いっぽう、それ以外には税金・社会保険料・公共料金の納付猶予というものがあります。これが止血に相当します。

今回は、新型コロナ感染症の影響を受けた事業者が利用できる社会保険料の支払い猶予の特例について紹介したいと思います。

この記事はこんな方におすすめです

  • 資金繰りが苦しい方
  • 特に従業員(主に正社員)を多く抱えている方

社会保険料の支払いで毎月どのくらいお金が出ていくのか?

社会保険料は、社会保険未加入のパート・アルバイトを除き、従業員に支払う給与総額の28%が大体の目安になります。このうち半分を従業員の給与から会社が天引きして預かり、残り半分を会社が負担しています。つまり、給与の14%に相当する額が毎月会社から出ていくわけです。

実際に自分の会社が社会保険料を年間でどれくらい支払っているのかを知りたい場合は、年金事務所から毎月「保険料納入通知額・領収済額通知書」という書類が届いているはずですので、金額を確認してみてください。合計金額の半分が会社が負担しているお金です(法定福利費として計上される経費です)

社会保険料を延滞するとどうなるの?

社会保険料の支払い期限(毎月末)を過ぎると、しばらくして督促状が届き、改めて支払期限を設定されます。督促状で指定された支払期限までに支払えば延滞金は発生しません。ですが、督促状の支払期限も過ぎてしまった場合は当初の支払期限にまで遡って延滞金が発生します(延滞金の計算方法はコチラを参照)

また、支払期限を過ぎて数か月放置すると財産を差し押さえられる可能性があります。

ちなみに社会保険料を滞納しても、それは会社の責任であって従業員に非はありませんから、従業員が病院に行く場合、健康保険証は問題なく使えます

社会保険料をキッチリ払うこともリスク

社会保険料をキッチリ払うことは会社の義務なのですが、資金繰りが厳しい状況においては、社会保険料を支払うことで他の支払先への支払いがさらに厳しくなるリスクがあります。

支払を猶予してもらえるのであれば、支払を猶予してもらい、支払を猶予してもらえない相手に対する支払いのために資金を確保しておくべきです。

社会保険料の支払い猶予を受けるためには

実は平常時も社会保険料の支払いを猶予してもらえる制度は以前から存在していました。しかしながら、新型コロナの社会的影響を鑑みて、以前よりずっと有利な条件で支払いを猶予してもらえる特例が設けられました。新型コロナウイルス感染症の影響による納付の猶予(特例)については日本年金機構のサイトで公開されています。

日本年金機構のホームページはこちら

制度概要

制度概要

  1. 新型コロナウイルス感染症の影響により、2020年2月以降に前年同月比で売上が20%程度減少した月があった場合、社会保険料の納付を1年間猶予することができます。
  2. 担保の提供は不要延滞金もかかりません

対象事業者

  1. 新型コロナウイルスの影響により、令和2年2月以降の任意の期間(1か月以上)において、事業等に係る収入が前年同期に比べて概ね 20%以上減少していること
  2. 厚生年金保険料等を一時に納付することが困難であること

この特例は、新型コロナウイルスの影響を受けていることが前提となりますが、直接的な影響だけでなく、間接的な影響についても幅広く認められています。

また、売上の20%以上減少していない場合でも、すぐに却下されるわけではないようです。営業状況などを確認して、今後状況が悪化しそうだと判断できる場合は対象事業者として認めてもらえることがあるようです。また、うまく前年比較できない場合も別の計算方法で売上が減少していることを認定するなど柔軟に対応してもらえるようなので、売上が前年同月比で20%以上減少していなくても、すぐに諦めず年金事務所に相談してみてください

対象事業者

  1. 令和2年2月1日から令和3年1月 31 日までに納期限が到来する厚生年金保険料等が対象となります。
  2. 上記の期間のうち、既に納期限が過ぎている厚生年金保険料等(他の猶予を受けているものを含む)についても、遡ってこの特例を利用できます

つまり、既に滞納してしまっている社会保険料についても2月分支払い分以降については特例扱い(延滞金なし)とすることができます。ただし、遡り申請が可能なのは6月30日までなので注意が必要です。

対象事業者

  1.  「納付の猶予(特例)申請書」を管轄の年金事務所に提出(郵送可)
  2. 指定期限(毎月の納期限からおおよそ25日後)までの申請が必要です。

指定期限の参考例

令和2年7月分の保険料等納期限・・・8 月 31 日(翌月末日 ※休日等の場合は翌営業日)
督促状           ・・・9 月 15 日頃発送(「指定期限」が明記)
指定期限          ・・・9 月 25 日頃(納期限からおおよそ 25 日後

7月以降は、原則として指定期限までに申請を行う必要がありますが、やむを得ない事情で指定期限までに申請できなかった場合は年金事務所まで要相談とのことなので、柔軟に対応してもらえる可能性があるので、もし期限を過ぎてしまった場合でも粘り強く交渉してみてください。

必要書類

  1. 納付の猶予(特例)申請書
  2. 事業収入が減少したことを証する資料(売上台帳、現金出納帳、試算表など)
  3. 収入や支出の見通しを証する資料(仮決算書(期末までの将来予測)、資金繰り表など)
  4. 現金・預貯金残高(通帳コピー)

①は必須ですが、②~④は必ずしも必須ではないようです。というのも、手引書には「根拠となる書類を確認させていただく場合等がありますが、書類の準備が難しい場合は、職員が聞き取りによりお伺いします」と記載されており、書類が整っているかどうかということより実態がどうなのかということを重視していることが伺えるためです。

なお、国税、地方税、労働保険料等について、納付猶予の特例が許可されている場合は、既に許可を受けている国税・地方税・労働保険料等に係る猶予申請書及び猶予許可通知書のコピーを添付することにより、「納付の猶予(特例)申請書」の「3 猶予額の計算」の記載を省略できます

納付の猶予(特例)申請書の書き方

納付の猶予(特例)申請書は、日本年金機構のホームページからダウンロードすることができます。

記入例があるので、記入例に従って記入すればOKです。

 1 申請者名等

自社の社会保険の情報(⓪~⑧)については、毎月年金事務所から送られてくる「保険料納入通知額・領収済額通知書」を用意し、下の図の⓪~⑧を見ながら記入するといいでしょう。

 2 令和3年1月31日までに納期限が到来する保険料等について申請等を希望する場合は、チェックしてください。

社会保険料は毎月支払いが発生しますが、毎月猶予申請を行うのは大変なので、令和3年1月31日の納期限分までまとめて申請することができます。また口座引き落としをストップさせることができますので、①、②についてはチェックしておいたほうが良いでしょう。

 3 猶予額の計算

月次の帳簿が必要です。顧問税理士がいる場合は税理士に相談して数字を教えてもらいましょう。わからない場合は年金事務所のほうでヒアリングしながら一緒に書いてもらえるようです。

通常、売上が発生した月と売り上げたお金(売掛金)が入金される月とは異なることがほとんどです。このフォーマットは損益の発生状況と実際にお金の入りと出の状況が混在しているようなので、ちょっとおかしなフォーマットになってますね。

ですので、あまり悩まず最初から帳簿をもって年金事務所に相談しにいくか、とりあえずこんな感じかなという感じで書いてみて年金事務所の反応を待つというというやり方でいいかもしれません。

 4 その他の猶予申請

支払い猶予が認められなかった場合、「換価の猶予」という制度で救済される可能性がありますので、チェックしておくといいでしょう。

「換価の猶予」というのは分納制度です。

アフターコロナの資金繰り

新型コロナウイルス感染症の影響による納付の猶予(特例)は、あくまで社会保険料の支払を一時的に猶予してもらえる制度であって、免除されるわけではありません。猶予期間が終わった後は、正規のタイミングで支払うべき社会保険料と猶予してもらっていた社会保険料をダブルで支払うことになります

したがって、よほど売上収入が改善しない限り、アフターコロナ以降も厳しい資金繰りになる可能性が高いですので、着実な資金計画が必要になります。

最後までお読みいただきありがとうございました。

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